小道具

Last Update 2004/02/24

牙の作り方 お手軽版

 パーティ・グッズではしっくりこない、かといって国内ではどこにオーダーしたらいいのかよくわからない「牙」 (コスプレ小物を扱っている店なら作ってくれるかもしれません。が、ちょっと予算がわかりません) そんなこんなで手に入れにくいけれどやっぱり吸血鬼の最大ポイントといえば牙ですよね。
 英語が得意で海外サイトに手を出す気力があれば、そしてお金に余裕があれば“Dnash”のCustom Fangsや“Transformatorium”のThe Fangsmith's Guildでオーダーなんていうのも素敵ですが、ここはひとつ自力で何とかしてみようではありませんか。このページではお手軽牙の作製法を紹介します。

 これより先に進む前に、まずはMichael E. Lucifer's Darksideの“Vampire V:tM”のページをご覧下さい。STEP1「形から入る」に牙の作り方が掲載されています。私の牙作成法は上記のサイトで覚えたものを自己流にアレンジしています。上記サイトを見なくても作り方はわかるように書いていますが、一応……。
(2003/12/26追記:Michael E. Lucifer's Darksideですが、現在行方不明です。行方を知っているという方は是非ご一報下さい。)

 いつの間にかあった韓国語版

 ※レンタルサーバの容量が50MBとかその程度の時代に作ったページなので、画像がメタメタに圧縮されてます。そのうち撮り直せれば撮り直しを……。

基本編

必要な材料
  • 自由樹脂(350円~)
  • お湯を入れる器(家にある適当なお椀でOK)
  • お湯(60度以上。ポットに一杯作っておくと安心)
  • 割り箸(お湯に手を突っ込む気合のある勇者には必要無し)
  • カッター(普通のカッターでもトーンナイフでもいいので、使い慣れたもので切れ味の鈍っていないものを1つ。切れ味が良くても錆びているものは論外)
  • ドライヤー(あれば便利)
  • 入れ歯安定剤(装着時に使いたい人は使いましょう(600~800円くらい?))
  • 消毒液+絆創膏(使わずに済むに越したことは無い)
適切な作業場所
  • 洗面所or台所(お湯・水・鏡が三種の神器)
  • あるいは自室にポットを持ち込む
 今回は“Dnash”のCustom Fangsでいう“Traditional Vampire”と“Lost Tribe”あたりの形を目指します。コスプレ等で目立てばOK写真写り最優先という人は“Lateral incisors”でもいいと思いますが、飲食は格段に難しくなると思います。前歯2本じゃまともに物が噛めませんので……(^_^;
 まずは材料の購入から。
 東急ハンズ等で「自由樹脂」を買ってきましょう。サイトで通販も出来ますが、送料がえらく高くつきます。もし通販するのでしたら周りの人とお誘い合わせの上纏め買いがいいかと。一番小さいJJ-35を1袋でも十分皆で分けられる量ですけど……。
 色はとりあえずナチュラルを。ナチュラルでもそれなりに白く、歯の色との差が出ます。見栄を張って白なぞ買おうものなら(略) 混色して自分の歯の色に近づけるというのも出来るかもしれませんが試していません。
 量は1番小さなパックで十分です。
 私はハンズの新宿店6階(キャストやドールアイ、粘土等のコーナーの側にありました)で購入しました。
 さて、ここでひとつ注意事項があります。
 自由樹脂のパックの裏にはいくつか注意書きがあります。その中にはこんな注意文も……
  • 「自由樹脂」は、食べ物ではありません。口に入れないようにして下さい。
  • 食べものを入れる器として使わないで下さい。
  • ※本来の使用目的以外に使用しないで下さい。
 以上の事を念頭に置いて、自己責任で作ってください。出来上がった牙を装着した状態で熱いものを食べたり飲んだりすると、牙が変形、最悪体内に摂取する羽目に陥ることも頭の片隅に入れておきましょう。60度以上で変形します。
 本当に気をつけてください。
大きさ比較


その1


その2
1.
 60度以上のお湯をお椀に入れ、自由樹脂を入れます。1袋全部入れると牙が何本作れるかわからない量になりますので、適当に加減して下さい。お湯が熱ければ熱い程自由樹脂は早く柔らかくなります。お湯が冷めてきたと思ったらこまめに取り替えましょう。一連の作業はお湯やドライヤーを使いますので火傷に注意して下さい。
 お湯の温度にもよりますがちょっと経つと透明な粘土のようになりますので、まずは適当な大きさの円錐を1つ作ってみて下さい。自分の思い描く牙の理想図より一回り小さいくらいが目安です。


 最初に作る円錐と1円玉の大きさ比較写真を追加しました。底を完全な円形にした円錐にしています。直径8mmくらい。歯の大きさにもよると思いますが、このくらいの円錐で下の歯茎に牙の先が届くくらいのものが作れます。

 円錐が出来たら犬歯にさしてみましょう。歯の体積の分だけ押し出されて牙が長くなります。まだ自分の思う長さに必要な量の調整のみなので、あまり綺麗な形にこだわらず、丁度良いサイズになるまで自由樹脂を足したり千切ったりして自分が必要とする円錐の大きさを調整していってください。
 大体の大きさが決まったら、隣の歯をカバーする分をくっつけます。これは自分の歯の幅に合わせて適当に。牙と垂直になるようにしてください。(写真その1)
 この時写真その2のように牙にあたる部分が前側に偏っているようにするのがポイントです。

 短い牙を作りたい人へ。
 本当に目立たない短い牙を作りたい場合、かなり円錐を小さくしてしまうと思いますが、少しくらい長めに作った方が作業は楽です。お湯を使う作業が多いので最初から短く作ると火傷の危険性が上がります。大は小を兼ねる、です。長いものは後からいくらでも削れますから。(→ちょっと応用編の9と11を見比べてみて下さい)

注1)写真は撮影の都合上、全て冷えて固まった状態のものです。実際の作業は柔らかいまま進めて下さい。
注2)女性の方は爪に注意。マニキュアをしているとくっついてしまいます。必ず落としてから作業しましょう。
2.
 歯にあたる方を手に持って、牙の先端に水をかけ冷やします。この時歯にあたる側を冷やさないように。全体が冷えて固まってしまった場合は、牙の先端を摘んで、残りの部分をお湯に漬けて再度柔らかくします。
 牙の先端だけが固まった状態が出来たら、固まった部分を持って気合を入れて犬歯にさしましょう。牙を片手で支えたまま、逆の手で隣の歯にもしっかり被せてください。この時点ではあまり形にこだわらず、歯を包み込む程度の気持ちでやってください。なんでもいいからとりあえず歯に被さった! と思ったら一旦しっかり口を閉じ、噛み合わせの跡をつけます。
 その後、水を口に含んで自由樹脂を一度固めてしまいます。しっかり冷やしたら歯から外してください。簡単に外れます。見ての通り、はっきりいってなんじゃこりゃ状態のものが現れると思いますがこの後調整していくので気にしない気にしない。
3.
 広がっている歯に当たる側を指で摘んで牙部分をお湯に浸け、ちょっと柔らかくなったところで少しずつ形を整えます。次に牙を冷やし、今度は牙の先端を持って歯に当たる側をお湯に浸け、折り畳んでしまいます。その後即座に再度歯にはめてしっかりと噛み合わせ、水を含んで冷やします。この部分に関してはあまりにも余分な所が多い場合は千切るなり切り落とすなりしてしまっても構いません。
 牙部分は下の歯茎や唇等に刺さらないよう、口を閉じた状態で下の歯に添うような角度になるよう調節していきます。先端にある程度丸みを持たせても、パッと見には尖っているように見えますので無理して鋭利にしないように。やり過ぎると口内炎まで一直線。飲食も厳しくなります。

 この作業を余分と思える部分が無くなるまで繰り返していきます。ただし柔らかくしすぎると、せっかくつけた型が一瞬でおじゃんになりますので気をつけて。
 まだ形がいびつですが、最後に調整するのでだいたい左の写真くらいになっていれば大丈夫です。


被せる
4.
 3の時点で上手くいけば歯から外れず喋れる程度の型がとれますが、当然上手くいく時ばかりではありません。あまりにも緩い場合は薄く伸ばした自由樹脂を用意します。
 本体の歯に当たる側をお湯に通して少し温め、柔らかい状態の伸ばした自由樹脂を被せてそのまま歯にはめて噛んでしまってください。この時本体の歯に当たる部分をある程度温めておかないと、後で分離しやすくなります。要注意。
 写真では冷えて白くなっていますが、薄く伸ばした樹脂の方は完全に柔らくなりきった状態で行って下さい。

(4~5あたりまでの作業は「歯から外れにくい土台を作る」ことがメインの目的です。牙部分はだいたいの形が出来ていれば後から細かい修正が出来ますし、歯と歯茎の境目のライン等もあとから継ぎ足し&削りでどうとでもできます。とにかく安定させることを考えて作業しましょう)
5.
 ちょっとした事ですがその割に重要ポイントなのがコレ。4までの作業で歯から外れない程度の土台が出来上がることが多いのですが、もし少し緩いと思ったらこの作業を行って下さい。
 まず牙の先端を摘んで歯に当たる側をお湯に浸けます。ほんの少し柔らかくなったところで左写真のように指で前後から圧力をかけ、潰します。潰しすぎるとはまらなくなって本末転倒ですので、力加減は慎重に。
 その後冷え切る直前に歯にはめて、今までと同じようにしっかりと噛みます。あまり柔らかいままはめると潰した意味が無くなります。

 4と5の作業順番は逆でも構いません。安定するまで4・5をぐるぐる繰り返すのもひとつの手です。
6.
 余分な部分はカッターで削っていきます。この時なるべく牙が薄くなるように前面の厚みを減らしておくと、装着した時唇が不自然に盛り上がるのを防ぐことが出来ます。
 歯の形に合わせて上部を削り落としたり、2本の歯の間の溝部分をつけてみたり、たまに装着して鏡を見ながら自然に見える形を目指してここはひたすら削るのみ。見えない裏側はあまり削りません。舌に当たって邪魔になる突起がある場合だけ削ってください。特に上顎に当たる部分は付け牙の安定に一役買っていますので、あまり切り落としてしまうとぐらつくようになってしまいます。

 この作業は、横着をして一気に落とそうとすると削りすぎて牙が欠けたり穴が開いたり、下手すると自分の手に穴を開けかねないので、細心の注意を払って行って下さい。
 左の写真撮影直後、お約束のように自分の手にカッターを刺しました。


7.
 削り終わったら、表面を軽くお湯で温めてカッターの削り跡を消します。表面が薄く透明になりかかったくらいの状態で、濡れた指で牙の表面を優しく撫で水に浸けて冷やします。強く触ると指紋がつきますので、あくまでも優しく軽く根気良く。これを何度か繰り返しているうちに跡が目立たなくなるはずです。表面を温めるのはドライヤーの熱風を使っても構いませんが、撫でる前にちょっと濡らさないと指や爪にくっついてしまうことがあります。またあまり強い風をあてすぎると牙の先端部分のような細かい場所が風の方向に変形しますので注意して下さい。
 跡が目立たなくなったら、軽くドライヤーの熱風を当てると艶がでるかも。これはお好みで。


 で、完成。

 ……えーと、即席で綺麗なものを一対作る気力と時間が無かったのでここから先は以前作った牙を流用させていただきます。手抜きですいません(汗)
 左の写真は通算3セット目=2本カバータイプ挑戦1回目のものです。


 ←内側はどうなってるの?という質問があったので画像追加です。こんな感じで歯型が取れていればOK。

ちょっと応用編


8.
 オマケ。
 いっそのこと隣の歯も牙にしてしまいましょうか?
 というわけで、2本目部分と同じくらいの幅で、逆涙型のものを作ります。
 横から見た時に少し湾曲かつ裏が凹んでしているように作ってください。
9.
 (←すいません、上の写真と逆の牙撮影してしまいました)
 8で作った小さな樹脂破片の裏側と本体表面を温め、両者をしっかりくっつけます。小さな樹脂破片の方は固まっていなければ柔らかいまま進めて問題ありません。
 (樹脂同士をくっつける時は必ず接着面を温めます。表面だけをお湯で温めるのが難しいという人はドライヤーの熱風を当ててもOKです。ただしあまり強い風をあてすぎると牙の先端部分のような細かい場所が風の方向に変形しますので注意して下さい。)
 メインの牙と違って、サブの牙は指で形を整えるのは非常に困難です。隣にあるメインの牙に指がぶつかってしまうので。あまりこだわりすぎると自滅しますから、しっかりくっつけばいいや、くらいの気持ちで妥協して、形を整えるのは次の工程に任せましょう。
10.
 6と同じく、ひたすら削るべし削るべし。削り終わったら基本編と同じように温めて削り跡を消してくださいね。
11.
 ちょっと雑になってしまいましたが、サブ牙付き牙完成。おまけはあくまでもおまけ程度の方がバランスが良かったので、サブ牙はかなり小さく削ってしまいました。

 完成後も気が向いたら温めて修正、小さな破片をはめ込んで修正、等々できますので日々改良して気が済むまで愛を込めて作りこみましょう。

ちょっと危ない応用編

12.
 どうしてもうまく固定できない、という人におすすめの方法です。ただしあまりにもうまくいき過ぎると、本当に歯から外れなくなるのでお気をつけて。

 自由樹脂を2~3粒お湯で柔らかくし、左写真の赤い円の部分、丁度歯と歯の間にあたる部分にくっつけて、歯にはめます。この時例外的に牙本体は温めないで下さい。その代わり、つけるほうの粒は完全に柔らかくしましょう。あとは冷えるのを待って外して終わりです。
 何故これで固定? と思われるかもしれませんが、この作業をすると指では押し込めなかった歯の隙間にぴっちり樹脂が入り込みます。(牙本体を温めないのは、牙本体が柔らかいと指で押し込めるのと変わらなくなるからです) うまくいけば両手で引っ張らないと外れないくらい固定できるかもしれません。(うまくいき過ぎてどうにもこうにも外れなくなった場合は、お湯でも含んで牙を壊してください。無念かとは思いますが……)

 ぴらぴらと変に飛び出した部分が出来てしまったら、カッターか鋏で落としてしまってください。

装着

 装着するとだいたいこんな感じになります。この写真は通算3セット目=2本カバータイプ挑戦1回目、改造前(7の状態)のものです。長さは口を閉じると牙の先端が下の歯茎に届く程度で、このくらいの牙っぽさになります。(牙が唇の外側に若干出ていますが、写真用のポーズです)
 何もつけずにそのまま牙のみで装着しても問題なく喋ることができます。入れ歯安定剤(ポリ○リップのクリームタイプがお薦めです)をつけておけば飲食も可能です。
 飲食に関して。
 噛む動作にはさして苦労しませんが、ある程度の固さや大きさのあるものを噛み切るのが難しいです。実質上の前歯が4本しか使えませんので。噛み合せも完全に自然な状態というわけにはいきませんしね。一旦口に入れてしまえば食べられる、程度と考えてください。お肉なら小さく切って食べる、等工夫しましょう。
 参考までに私の経験をいくつか。
 牛肉のワイン煮・サラダ・カレー・ハンバーガー・スープ・バナナ・チョコレート・飴・煎餅あたりはクリアしました。固くてもお煎餅みたいなものならパキッと割れるので大丈夫です。(……カレーについてはちょっと色素沈着したので注意が必要かも。)
 ここを見に来るような人に安心してもらえるような言い方をするなら、うまく作れれば「Vampire Cafe」や「Christon Cafe」でコース料理が出てもクリア可能!ということで(笑)

 (はじめにも書きましたが、飲食物の温度には注意してください。繰り返しますが「自由樹脂」は60度以上で変形します。60度以上のものを飲んだり食べたりした場合の責任は取れませんので悪しからず(^_^;)

余談

 こんなちゃっちぃ作り方ではなくてもっと本格的な作り方はないの~? という人には
 →浅草ギ研(http://www.robotsfx.com/sfx/sfxtop.htm)
というサイトの「特殊メイク教室」に「義歯の作り方」が掲載されていた……んですが消えたかも。
 浅草ギ研では本格的な牙作製に使える歯科用レジンの通販もしています。

 特殊メイクに特化した解説書が発売されました。コンセプチュアル特殊メイク入門

 「歯科用レジン」を使用した牙の作成を請け負っている方がネット上にいらっしゃいます。1対(2本)で5000円からです。
http://kibaya.com/  普段は主にゴシック系のオールナイトイベントなどで出張出店しているので、探してみてください。

 このページを見て、前歯全部カバータイプを作った方が! これも萌えます。いつかチャレンジしてみたい
 →LESTAT'S BOOT(http://www.geocities.jp/lestats_boot/)
 とりあえず私もチャレンジしてみました。作れました。が、改良の余地があるのでもう少し作業手順を練ってから載せるかもしれません。