吸血鬼の手帖

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† 七本腕のジェシカ

作者:木村航
イラスト:芳住和之
発売:メディアファクトリー MF文庫J
初版:2008年02月29日
価格:580
頁数:287
 瀉血奴隷として貴族ヘルマに使える献身士の少年エドガー。
 汎不死社会をめざした淘汰を乗り越え、より進化を遂げるための《強攻遠足》のさなかに、エドガーはひとりの少女に出会う。
 彼女の名はジェシカ。その身に魔王《七柱》を封じ込め、大契約の定めに従い、磨き抜かれた、尊き貴族の魂を喰らう《刈り入れ》のたびを続ける――《七本腕のジェシカ》。
 自らの住む街を《刈り入れ》によって失ったエドガーは、伝説として語り継がれるその暴虐とは裏腹なジェシカの様子に戸惑うが――。
 木村航が贈る渾身の本格ファンタジー、ついに登場!
 なんてところで終わるんだ! とんでもないところで次巻へ続くって!

 貴族=吸血鬼が支配する遠未来というとどうしても菊地秀行の『吸血鬼ハンター“D”』を思い出します。
 実際ちょっと被っていると思います。
 爽快感があるのはDの方で。こちらはかなり鬱々。

 読んでいると、物凄い細かい設定が山積みなんだろうなっていうのは伝わってくるので、その点は凄いです。
 凄いですけど、読者の立場からすれば難解。面白そうな予感はするけれど、どう出てくるのか分からない。
 そして、設定と頁数が釣り合っていないとでも言いますか、世界設定が理解できるところまできて、ようやく後半ストーリーが加速した! と思ったところでいきなり終わってしまうので消化不良気味。
 2ヶ月連続刊行とかならともかく、このお預けっぷりは酷いわ。

 吸血鬼モノと分かり辛い割に、吸血(飲血と表現した方が正確かも)シーンもばっちりあるし、意外とまともに吸血鬼してます。その点は期待以上でした。
 最初の鬱になりそうな展開から始まって、悩める青年(?)主人公エドガーが悩みすぎてて鬱陶しいです。でも悩みすぎるのも理解できるくらいに嫌な問いかけが満載で。
 悩んだ分の昇華が次巻にあると信じたいなぁ。陰鬱なまま終わられたらどうしよう。
 あと、ところどころ無駄にエロいというか、妄想を掻き立てる素敵描写が。
 ロリ体型に巨乳! というある種のお約束について、これほどはっきり理由を設定してくれるとなんだかもう文句が言えないです。
 あの胸には××が詰まっているんだね!

 ロリとか巨乳とかツンデレとか微エロとか裸マントとか、ラノベとして(うわー我ながら酷い偏見だー)押さえるところは押さえつつ、いや、押さえたからこそ、それ以外の部分で作者が暴走の勢いで突っ走ってますよね。

 作者曰く「いままでにない吸血鬼像」
 いままでにないかどうか判断つきませんが、次巻は確実に買うと思います。
 気になってしかたないわこれ。

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コメント

やっぱり吸血鬼物なんですね。気になってました。買いますv
「今までにない吸血鬼像」は書き手的にはやってみたいものなんですよね〜〜。読者さんの方はどうなのかな。オーソドックスな吸血鬼像の方が人気なのかしら……。「今までない」といえば、ロビン・マッキンリイの「サンシャイン&ヴァンパイア」はかなり斬新でしたよ。感想書こうと思いつつ放置になってます……(^^;)
あと、「異形コレクション37」の「伯爵の血族 紅の章」は今までない吸血鬼像のオンパレードです。

ちょっと変則的ですが立派に吸血鬼モノですよ~!
吸血鬼像云々よりも、全体的に暗い感じなのが好み分かれそうです。
「生命=カロリー」というシビアすぎる世界観なので。
『サンシャイン&ヴァンパイア』も『異形コレクション』も見事に積んだままです……orz

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