吸血鬼の手帖

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† ロスト・ソウルズ

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原題:Lost Souls
作者:ポピー・Z・ブライト(Poppy. Z. Brite)
訳者:柿沼瑛子
発売:角川書店 角川ホラー文庫
初版:1995年08月10日
価格:777
頁数:506
 母親の肉体を引き裂いて生まれてきた、ヴァンパイアの血をひく美しい少年。つきまとう孤独を埋めるために、彼は魂を揺さぶるパンク・バンド『ロスト・ソウルズ?』のメンバーが住むミッシング・マイルを目指す。そして、さすらいのうちに出会った、緑の瞳の酷薄な青年ジラーに血と官能を教えられ、心奪われてしまう。──享楽の夜々。その果てにもたらされる恐るべき真実とは…。
 精神と肉体の教会を越えた濃密な愛を描く耽美ホラー。
 主人公は母親の腹食い破って出てきた吸血鬼(正確には母親が人間だからハーフ、つまりは一種のダンピール)の少年。当然、美少年という設定。とにかくこの物語のなかに登場する吸血鬼は、従来の吸血鬼のイメージとはかけはなれたものが多いです。バーテンダーをやってる吸血鬼、ボディーピアスして酒を呑みながらハイウェイを車でぶっ飛ばす吸血鬼御一行様。とりあえず、耽美系。ホモ、近親相姦、なんでもござれ。
 『アン・ライスの描くヴァンパイアがひたすらデカダンで美しいのに対して、彼女の描くパンク世代のヴァンパイアたちは、乳首にピアスをして黒いマニキュアを塗り、盗んだ車を乗り回し、ドラッグとセックスとアルコールに溺れては、無意味な殺戮を繰り返すといった徹底的なインモラルぶりを発揮してくれる』
 訳者あとがきより。
 とまあこんな感じ。そんなヴァンパイアたちに巻き込まれていくロック・バンド「ロスト・ソウルズ?」のボーカリスト&ギタリストにの間もまた何とも言いがたい雰囲気が漂っております。別にはっきり描かれているわけでもないし、ギタリストにはちゃんと女の恋人もいる……というかいたのですけど……男の友情にしてはちょっとお互いに固執しすぎてないか? といった感じが。
 実在するロック・バンドの名前がぽこぽこと出てきたりもします。主人公がBGMとしてかけてたりするんですよ、「バウハウス」とか「キュアー」とか。
 かなり面白いと思うのでお薦めですが、惜しむらくは、絶版。

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