† Gunning for Nosferatus 1-此よりは荒野
19世紀末、アメリカ西部。近隣の村とともに家を襲われ、母と妹を亡くしたアラン・グリーンウッド。彼を助けた少女は言った。襲撃者は「不死者秘儀団」だと。炎に包まれる家を前に、アランは復讐を誓う。
――それから3年。保安官の叔父のもと、キングスウェイ市で保安官補となっていたアランは、かつての少女――「屍人殺しのステラ」の二つ名で呼ばれる凄腕の拳銃使いと再会する。その間に埋められぬ力の差を感じ、自嘲するアラン。そんな折、街が人狼に襲撃され……。
いま、ふたりの復讐劇が幕を開ける！！
ラノベでこんなにも心踊らされるとは。
銃と荒野とくれば西部劇。ええ、西部劇ですよ。
舞台は合衆国。時代は開拓時代。
現実と違うのは、ごくごく当たり前のように魔物が存在していること。
吸血鬼は立場上どうしても登場するページ数が少なめ。ただし、存在感はしっかりあります。キャラも立っていると思う。
1冊でひとつの話の区切りはついているんですが、この区切りに持っていくまでが緩急あって、起承転転転転転転転結みたいな詰め込み具合で飽きませんでした。
読み始めてしばらくは、主人公のアランが頼りなくて「もっとしっかりしろよ～」という感じなのに、中盤あたりから変わってきて、最後は一人前……まではいかなくとも立派になっていて、成長物語としても楽しいです。
地べたに這い蹲って辛酸を舐めて、それでも立ち上がる奴っていい。
多分これは「萌える」じゃなくて「燃える」本。
最後の一文にアレを持ってくるあたりにも心打たれましたよ。
台詞の多さあたりは確かにラノベなんですが、硬めの地の文は少し翻訳モノっぽかったり、あとがきではなく解説がついていたり、ちょっと変わってます。
ふと、吸血鬼ハンターDを初めて読んだ時の読後感に少し似ているかもと思いました。
期待感も込めて★5つ。