吸血鬼の手帖

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原題:Dead Witch Walking
作者:キム・ハリスントン(Kim Harrison)
訳者:月岡小穂
表紙:エナミカツミ
発売:ハヤカワ書房 ハヤカワ文庫FT
初版:2007年09月25日
原語版初版:2004
価格:760
頁数:367
 あたしの名前はレイチェル・モーガン。優秀な魔法使いで<異界保安局>の敏腕捜査官だ。
 本来なら邪悪な魔法を操る黒魔法使いの逮捕や、人狼や吸血鬼がらみの難事件があたしの仕事。なのに、このところ上司のデノンはネチネチと嫌味ばっかりで、ロクでもない仕事しかまわしてこない。
 あたまにきたあたしは、同じ捜査官仲間で美人の<生ける吸血鬼>アイヴィといっしょに局をやめ、私立探偵をはじめることにしたのだが……。
 読み始めた時の最初の印象は『アニタ・ブレイク』とか『ブラッド・プライス』とか、その辺の系統。

 遺伝子組み換えトマトを感染源に広がった「T4・エンジェル」により、人類は滅亡しかける。
 滅び去ろうとする文明社会を救ったのは、それまで正体を隠してひっそり生きてきた異界人――T4・エンジェルへの免疫を持っていた魔女、吸血鬼、人狼等だった、というのが世界設定。(ただし人間と仲良くしていたエルフは免疫が足りなくて全滅、っていうのは笑うところ?)
 異界人が人間を救った=正体を現した<大転換期>以降、生物化学研究は禁止されていて薬の開発も重大な犯罪扱いだったり、少し極端な世界にもなっています。
 人間側の捜査組織「連邦異界捜査局(FIB)」と、異界人側の捜査組織「異界保安局(IS)」がお互い優越を競って対立していたりと、共存しているのか仲が悪いのか微妙。

 裏表紙のあらすじだけ見た時は、意気投合した相棒同士で辞職! って感じを想像していたんですが、いざ読んでみたら全然違って驚きました。
 意気投合した相棒同士なのは魔女レイチェルとピクシーのジェンクスの方だよ。
 断血を宣誓しているはずのアイヴィが食欲に負けそうになるわ、そんなアイヴィにびびりまくり不信感募りまくりのレイチェルは警戒心剥き出しだわ、話が進んでも進んでも、全然進展しない二人の仲。
 こんなんでタッグを組んで探偵できるのか? というくらいの仲の悪さ。
 いや、アイヴィ→レイチェルの片思いと言うべきなのかなこの構図。
 アイヴィが何故レイチェルを追いかけてISの辞職を決意したのか、アイヴィの口から説明されるものの、それも何だか信憑性の薄さがあって、何か隠してるにおいがぷんぷんですよ。

 途中で出てきた「吸血鬼を誘惑する方法」の本が面白くて、かなり笑えました。
 あと、吸血鬼の設定で「生ける吸血鬼」「死なざる吸血鬼」というのが出てきていて、明言はされてないけどいわゆる「モロイイ」「ストリゴイ」ってことなのかな。原文ではどうなっているんだろう?

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