吸血鬼の手帖

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† 幽霊たちが舞う丘-アニタ・ブレイク・シリーズ4

原題:Bloody Bones
作者:ローレル・K・ハミルトン(Laurell K. Hamilton)
訳者:小田麻紀
表紙:Wolfina
発売:ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス
初版:2009年04月20日
原語版初版:1996
価格:980
頁数:652
 この仕事はきみにしかできない――蘇生師としてのアニタの腕を見込んで、困難な仕事の依頼があった。リゾート開発で荒らされた何百年も前の古い墓地の死者を、いっぺんによみがえらせるというものだ。
 現地に向かったアニタは、墓地の所有者らしい妖精の血をひく不思議な兄妹と出会う。
 だが依頼主と激しく対立するその兄妹の真意をはかるまもなく、近くで起こった3人の少年の惨殺事件の捜査に駆り出される。
 今までとは違うヴァンパイアの凶行に悪い予感を抱くアニタ。そして急遽セントルイスからアニタを助けに駆けつけたジャン=クロードに、最大の危機が襲いかかる!
 好評シリーズ第4弾。
 4巻目にして急にジャン=クロードの事を可愛いと思いました。何故か唐突に。
 やはり身の上話が出てきたからか。
 アニタ風に言うならジャン=クロードに得点1。

 土地の地権者が誰なのかを確定するため、その土地から発見された墓の死体を蘇らせることになったアニタ。
 土地の取り合いをしている両者の描写からして、何やら共に隠し事があるのはほぼ確実。果たしてどちらの土地なのか。
 ……というお話で進むのかと思ったら、途中それだけでは収まらず、むしろ土地の奪い合いは二の次状態。
 今回新たに出てきた吸血鬼もまた一筋縄ではいかない個性あふれる曲者。
 吸血鬼が裏で糸を引くのはこの世界のお約束なのか。
 ジャン=クロードとの仲も一歩前進。次の巻はリチャードとの修羅場でも待ち受けているんですかね?
 このシリーズと『トワイライト』シリーズを続けて読んだせいか、「吸血鬼+人狼によるちょっと特殊なヒロイン奪い合い」が流行りの構図なのかと思えてきました。
 海の向こうで流行っているのかな……。

『トワイライト』も面白いですが、『アニタ・ブレイク』は綺麗事だけではなくて嫌な部分も描写されるのが好きです。全員助かって大団円というハッピーな読後感もいいけれど、屍を越えていくのもまたよしで。
 たとえば死者を蘇生するにあたって必要な生贄。その生贄の表情まで描写してくれるので、読んでいるこちらまで胸がチクッとするのがたまらない。
 それ以外の犠牲者にしても、『トワイライト』だと死ぬのは敵側(or多少敵寄り)なのに対して、こちらのシリーズは味方がいとも簡単にあっさり殺られるのが。
 無論、そういうのを好まない人もいるとは思いますが。
 アニタの考え方や行動はかなり独特で、生い立ちの設定や何やら複雑ですし、それに感情移入するのって正直ちょっと難しい。
 でもこういう「仲間の死」「生贄への感情」のような、誰しも似た気持ちになる描写があることで、アニタに親近感を覚えられる気がします。

 で、あとがきを読んでいたら、実はこのシリーズ、翻訳する時に2冊目を飛ばしているそうで……本編と流れが違うので泣く泣く省いたとのことなので、ジャン=クロード達の出てこないアニタの日常お仕事風景のお話なのかな。シリーズが売れたら外伝として出したい云々ありました。ここはひとつ頑張ってほしいです。皆シリーズ揃えるといいさ。

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