吸血鬼の手帖

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† 屍鬼1

作者:小野不由美
発売:新潮社 新潮文庫
初版:2002年02月01日
価格:743
頁数:583
 人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。
 猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躙したかのように散乱していた――。
 闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。
 殺人か、未知の疫病か、それとも……。
 超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。
 数年ぶりに再読。

 --To 'Salem's Lot
 とあるように、スティーヴン・キングの『呪われた町』へのオマージュ作品。

 漫画化されたのを読んで、本家キングのを読んで、小説へと戻ってまいりました。
 初めて読んだ時は1巻を読むのが正直辛かった記憶があります。特に序盤。
『呪われた町』もそうですが、序盤は淡々としていてほとんど何も起こらないので、「たるい」のですよ。
 そしてキングの方は上下2巻、かったるいのは上巻。対するこちらは全5巻。キングの上巻がこちらでは1~2巻あたり。『屍鬼』もハードカバーの時は上下巻だったので、そういう意味では「上巻」は「上巻」に対応していたのかも?
 次々と出てくる村人、入れ替わる視点、描かれているのは終始(ほぼ)平凡な日常。
 読み続けていけば、その「日常」こそが恐怖の前振りだとわかっていくんですけどね。
 今回は『呪われた町』を読んでそのまま続けてこちらに突入したので、「ああ、ここはあれを意識しているのか」というのがパッとわかって、おかげであまり退屈せずに読めました。

 もし1巻の途中で挫けそうになったって人がいたら、いっそのこと先に『呪われた町』を読んでしまうといいさ。
 大丈夫、元になったとはいえ、洋と和、雰囲気も捉え方も違う作品ですから。
 今なら漫画版を先に読むのもあり。

 それにしても登場人物の多いこと。
 ただでさえ覚えるのが苦手なのに、この多さ。完全に頭がパンク。
 でも開き直りました。パンクしたままで全然問題ありません。
 余程何度も何度も出てくる重要人物以外は「その他運の悪い村人」くらいに記憶しながら読んでいても大して問題ありません。
 なぜなら彼らは消えゆく「日常」の記号だから。

 再読なのに、最後のページでゾクッと来たのは何故だろう。むしろ再読だから?
 1巻と2巻を比べると2巻の方が大分薄いのは、ここで1巻の区切りをつけたかったからなのかな、と思いました。
 初めて読んだ時はそんな事考えなかったなぁ。

 仏僧である静信が明らかにアベルとカインをモチーフにした小説を書いているのも興味深いところで。
 その内容はともかくとして!

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