吸血鬼の手帖

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† 屍鬼2

作者:小野不由美
発売:新潮社 新潮文庫
初版:2002年02月01日
価格:667
頁数:503
「尋常でない何かが起こっている」。
 死者の数は留まるところを知らず、村は恐怖の連鎖に陥っていた。山々に響き渡る読経、毎日のように墓場に消えていく真白き棺。
 さらにそのざわめきの陰で、忽然と姿を消している村人たちがいた――。
 廃墟と化した聖堂に現れる謎の少女。深夜目撃されるトラックの残響。そして闇の中から射る、青白い視線……。
 目が離せない展開、戦慄の第二幕。
 ハードカバー版は持っていないので断言はできないのだけれど、おそらく、1~2巻が上巻で3~5巻が下巻ではないだろうか。
 何故そう思ったのかって、文庫版2巻の終わりが、『呪われた町』上巻の終わりと同じ印象だったから。
 誰かハードカバー版読んだ人がいたら正解を教えてほしいです。

 2巻になるとゆっくりではあるものの事態が加速し始め、村を囲む「死」がじわりじわりと迫ってきます。
 途切れぬ葬式、相次ぐ転出者、不安を感じ始める村人たち。
 主人公の前に時折姿を見せ、主人公自身意識していなかったようなことを指摘する少女、沙子。

 読んでいる最中、フッと感じたのは幼い頃に遊んだ山や川や海への憧憬と、絶対に自分はあの中では暮らしていけないという確信。
『呪われた町』は確かに怖いけれど、やはり『屍鬼』の方が怖い。
 三方を尾根に囲まれ、電車も無く、外界と隔絶された外場村。
 私の生まれた場所はここまでではなかったけれど、山と海に囲まれた小さな町で、電車は走っていたけれど単線で駅も無人駅。隣町へ行くには山を越えるか海岸沿いの国道を抜けるか。
 爺さん婆さんは玄関に鍵なんてかけていないし、訪問者は唐突に勝手口から現れる。
 法事が三月に渡ってはいけないだとか、そういった慣わしにも覚えがあります。既に形骸化していたけど、葬式の時は町を一周するとかあったなぁ。
 隣の家に誰が住んでいるのかすらよくわからない都会の暮らしとは雲泥の差。
『屍鬼』を読んでいると随所で「ああそうだ」「確かにそうだ」「こんな感じだ」と田舎を思い出します。
 身に覚えがある分、怖いんだよね、多分。『呪われた町』よりさらに身近な風景過ぎで。

 都会生まれ都会育ちの人だとどうなんだろう? と素朴な疑問も覚えてみたり。
 根っからの都会の人から見た『屍鬼』って、私にとっての『呪われた町』くらいの距離感になるのかなぁ……?

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